

クロスワークが調査、物流・旅客230社が抱える人手不足の実態と課題
目次
物流・旅客230社が抱える人手不足の実態と課題
外国人ドライバーの採用実態と課題について、クロスワークが2025年6月に実施した業界調査によって明らかになりました。物流・旅客業界の人材不足が深刻化する中、言語面や制度理解に関する障壁が依然として高い現状が浮き彫りになっています。
調査概要
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調査期間:2025年6月23日〜6月30日
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調査対象:全国の物流・旅客企業経営者・役員(20代以上)
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回答数:230名
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調査方法:ウェブアンケートによる調査、インターネット調査
外国人ドライバー採用、最大の懸念は「日本語コミュニケーション」
クロスワークは、2025年6月23日から30日にかけて、全国の物流・旅客企業230社を対象に「外国人ドライバーの採用・活用に関する実態調査」を実施しました。その結果、全体の50.9%が「日本語でのコミュニケーションに不安がある」と回答しています。
他にも以下のような懸念が挙がっています。
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「日本の交通ルールやマナーの習熟に時間がかかると感じる」:41.3%
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「文化や習慣の違いによる摩擦の可能性」:24.8%
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「行政手続きの複雑さ」:21.7%
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「外国人採用に関心がない・必要性を感じない」:20.9%
業界の約75%が「人手不足」を実感
調査によると、物流・旅客企業の74.8%が「人手不足を実感している」と回答しました。「全く人手不足を感じていない」とした企業は1割程度にとどまります。
採用を強化しているドライバー層の内訳は以下の通りです。
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中堅層(40〜50代):41.3%
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若手層(20〜30代):38.3%
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他業種からの転職者:28.3%
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未経験者:20.0%
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外国人ドライバー:3.9%
特定技能ビザ、日本語要件緩和に賛否 旅客業界の実情
バス・タクシーなどの旅客業界では、特定技能ビザの日本語要件緩和に対する意見が二分されています。20社に対する調査によれば、
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8社が「人手不足解消に役立つ」と前向きに評価
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7社が「コミュニケーショントラブルの増加」を懸念
その他の声としては、「多様な国から人材を受け入れやすくなる」「来日後の日本語学習支援が前提であれば賛成」といった前向きな意見もある一方で、「文化摩擦」や「不当労働への懸念」も指摘されています。
外国人雇用制度への理解不足が顕著に
「特定技能ビザ」は、2019年に創設された在留資格で、物流や製造、介護など現場業務に対応した制度です。しかし、調査では企業側の制度理解が不十分である実態が浮かび上がりました。
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「詳細まで理解している」:12.2%
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「名前は知っているが内容はよくわからない」:41.3%
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「全く知らない」:35.7%
この結果からも、採用実務における制度理解や行政対応ノウハウの不足が課題であることが確認されています。
まとめ
物流・旅客業界の人手不足は、社会インフラ維持に直結する喫緊の課題となっています。この「社会の血液」とも称される物流・旅客輸送が停滞すれば、私たちの日常生活にも深刻な影響が及ぶ可能性があります。
こうした状況下、深刻な人材不足の解決策として外国人ドライバーの採用が議論されており、その実態を明らかにした調査が行われました。その結果、「日本語コミュニケーション」「制度理解不足」「行政手続きの煩雑さ」などが主な課題として浮上しました。一方で、旅客業界からは外国人材を「人手不足解消の切り札」として期待する声も上がっています。
外国人材の活用を本格的に推進するには、企業側が「言語サポート」「制度理解の促進」「受け入れ体制の整備」を進めることが不可欠です。クロスワークは、1月より特定技能制度の理解から採用、そして定着までを一貫して支援する体制を構築し、今後も持続可能な人材確保の支援を続けていきます。
参考サイト
・『クロスワークしごと白書』