【運送業界のFAX依存問題について】現状と未来への変革戦略|vol.165
物流業界の経営者や業界従事者に有益情報を発信するお役立ちメディア物流チャンネル。vol.165は『【運送業界のFAX依存問題について】現状と未来への変革戦略』です。
- FAX文化が根強い理由 → 現場の慣れ・安心感・コスト意識が背景にある
- 完全デジタル移行は困難 → 段階的・部分的な「選択的デジタル化」が現実的
- 若手人材とのギャップ → 紙文化の継続は人材確保の障壁にもなる
- FAX脱却のカギ → 現場との対話と納得感のある移行ステップ
※本人の発言と実際の記載が完全一致しない場合もございます。予めご了承ください。
目次
なぜ令和の今もFAX?|アナログ文化の深層
物流業界を見渡すと、「なぜまだFAX?」と思わずにはいられない光景が広がっています。スマートフォンでなんでもできるこの時代においても、トラックの配車指示や荷物の受発注において、依然としてFAXが主役を張っている場面が少なくありません。これは単なる時代遅れではなく、物流業界全体が抱える構造的・文化的な問題の表れでもあります。
FAXは本当に“なくせない”のか?
物流業界においてFAXは、「古くて新しいツール」と言える存在です。実際、現場では今も以下のような場面でFAXが使われています。
- 荷主と運送会社の間の配車依頼
- ドライバーへの指示書の送信
- 荷物の受領書や運行日報のやり取り
FAX文化が残る要因
「うちはFAXでやり取りしてるから」と何気なく言われるが、その裏にはFAXをやめられない3つの根深い理由があります。
要因1|現場の“安心感”と“慣れ”
FAXの最大の強みは「送ったら、必ず紙で出てくる」という物理的な証跡が残る安心感です。特に高齢のドライバーや配車係の中には、スマホやPC操作に苦手意識を持つ人も多く、デジタルよりも見える・触れる紙に絶対的な信頼を寄せています。
実際ある中小運送会社の社長はこう語ります「スマホで配車表を送っても“見逃した”“見方が分からない”という声が現場から上がるんですよ。FAXだと確実に目に入るから、トラブルが少ない」と。
要因2|システム連携の難しさ
物流業界では、多くの企業が自社専用の管理システムを使っており、他社との連携が難しいのが現実です。
その結果、“共通言語”として最もシンプルなFAXが、異なる企業・現場間をつなぐツールとして残り続けてしまうのです。たとえば、大手荷主が独自の配車システムを使っていても、それに対応できない協力会社やドライバーが存在します。そうなると結局、FAXで送らざるを得なくなります。
要因3|コストとリスクを嫌う現実主義
FAXをデジタルに置き換えるには、システム導入やスマホ・タブレットの支給など、初期投資が必要になります。そのうえ、デジタルツールの導入によって一時的に業務ミスが増えるリスクもあります。
こうした「お金と手間をかけてまで変える必要あるの?」という経営者側の合理的な判断も、FAX文化を維持させる一因です。
FAXの“デメリット”が見えにくい構造
FAXは便利で安心感がある反面、以下のようなデメリットもあります。
- 手書きや読み取りミスによる誤配・誤送信
- 紙の出し忘れ・紛失によるトラブル
- 情報の蓄積・共有が困難(データ化されていない)
- 印刷コスト・保管スペースの無駄
特に、「紙が詰まって送信されていなかった」「送ったけど相手が気づいていなかった」といった“気づかれにくいトラブル”が日常的に起きているのが現場の実態です。
それでも、「今まで大きな問題なく回ってきたから」という理由で使い続けてしまうのです。これがアナログ文化の怖いところでもあります。
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成功事例に学ぶ|FAX脱却のリアル
ある地方の中小運送会社では、FAX依存から脱却するために、以下のような取り組みを段階的に進めました。
導入ステップ1|まずはFAX内容をPDFに変換し、メールで送る体制を構築
紙を徐々に減らし、デジタルの感覚に慣れてもらいます。
導入ステップ2|配車管理アプリを試験導入(現場リーダーにスマホ貸与)
最初はベテランの抵抗が強かったが、使い方研修を実施しました。
導入ステップ3|半年でFAX送信件数を8割削減
作業効率アップ、誤配・ダブルブッキングの削減にも成功しました。
このように、「段階的な移行」と「現場への丁寧な説明・サポート」が、FAX脱却には不可欠です。
「共存」から始める戦略|デジタル化=FAXゼロではない
FAXを一気にゼロにするのは現実的ではありません。大切なのは、「FAXを使う相手」と「デジタルで済む相手」を明確に分け、選択的デジタル化を進めることです。
たとえば、
- 大手荷主とのやり取りは引き続きFAX
- 自社内や協力会社間ではLINEやアプリで配車共有
- 紙で届いたFAXはスキャンしてクラウド保存し、社内では共有可能に
このように、完全デジタルではなく「段階的・部分的なデジタル移行」こそが、現実理解として有効な戦略となります。
若手ドライバーが求める|「紙のない世界」
今後、ドライバーの世代交代が進むにつれて、「紙の配車指示書?めんどくさい」「全部スマホで見れたら楽じゃん」という声が増えていくことは間違いないでしょう。
FAX文化を引きずったままだと、若手人材の獲得にもマイナスに働きかねないのです。ある若手ドライバーはこう言います「配車も報告も紙でやらなきゃいけないのって、バイト時代の弁当屋くらいでしたよ。物流の現場ってもっと進んでると思ってた」このギャップは、今後の人材不足時代において致命的になる可能性すらあります。
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まとめ
FAXが物流業界から完全になくなる日は、まだ少し先かもしれません。しかし今、少しずつでもアナログ文化からの脱却に動き出さなければ、「未来の物流人材」から取り残されてしまいます。
重要なのは、現場の不安や習慣を無視して無理やり変えるのではなく、納得感と段階的な移行を大切にしながら、FAXからの卒業を目指すことです。物流業界が、令和の時代にふさわしい“スマートな働き方”を実現するために、まずは、「なぜFAXを使っているのか?」という問いから始めてみてはどうでしょうか。
アナログとデジタルの間で揺れる物流現場。しかし、一歩ずつでも変わる努力を続けることが、業界の未来を切り開く力になります。小さな改善が、やがて大きな変化につながるのです。
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