

【運送業界】多重下請け、荷待ち問題について|vol.139
物流業界の経営者や業界従事者に有益情報を発信するお役立ちメディア物流チャンネル。vol.139は『【運送業界】多重下請け、荷待ち問題について』です。
- EC市場の急成長や激しい競争→構造的課題が深刻化している
- 待機時間の未補償、多重下請け構造の弊害→現状を打開するための改善策
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※本人の発言と実際の記載が完全一致しない場合もございます。予めご了承ください。
目次
運送業界|現状と抱える課題
近年、EC市場の拡大と共に、運送需要は飛躍的に上昇しています。
一方で、急激な需要の高まりに対応するため、各社は業務の効率化に追われ、元請けから下請けへと段階的に業務を委託する多重下請けの仕組みが一般化しました。 しかし、このシステムはメリットと同時に、以下のような問題点を孕んでいます。
- 契約内容や料金設定が明文化されず、各社間での取り決めが曖昧
- 待機時間や荷待ちの発生時、その補填責任がどこにあるのか不明瞭
- 結局、現場で働くドライバーや下請け業者へ負担が集中する
待機時間|未補償問題
運送現場で実際に発生している待機時間の例として、5時間に及ぶ待ち時間があります。この待機時間について、以下の2つのポイントが重要です。
- 休息や食事の確保が困難
- 待機時間分の補填が行われない
それぞれ詳しくみていきましょう。
ポイント1|休息や食事の確保が困難
車両が5時間も稼働せず待機状態にある場合、ドライバーはその間の休息や食事の確保が困難になります。
結果として、現場での負担がドライバー個人に集中し、労働意欲の低下や健康面でのリスクが懸念されます。
ポイント2|待機時間分の補填が行われない
実働時間に応じた運賃だけが支払われ、待機時間分の補填が行われないため、収入の大幅な減少が生じるでしょう。
従来の運賃計算方法では、実際に車両が稼働した時間のみを基準としており、待機時間の「無形労働」が適切に評価されていないのが現状です。
多重下請け構造の弊害
運送業界のもう一つの深刻な問題は、多重下請け体制による責任の分散です。 契約が口約束あるいは書面でしっかりと整備されていない場合、以下のような弊害が発生します。
- 元請けと下請け、さらには現場レベルでの料金決定基準が統一されておらず、どの段階で待機時間の補填がなされるべきかが不明確
- もし待機時間の補填を請求しても、荷主側や上位の取引先がその要求を拒否するケースが頻発 結果、最も努力して現場で働いている下請け業者やドライバーが、適正な報酬を得られず損失を被る構図が生まれている
上述の「5時間待機」問題は、まさにこの多重下請け構造が原因であり、契約の透明性向上が不可欠であることを示唆しています。
現場|ドライバーへの影響
現場で直接働くドライバーにとって、長時間の待機は単なる時間ロスではなく、生活や健康、そして家庭との両立にも悪影響を及ぼします。 実際、以下のような現状が報告されています。
- 待機中は食事や休憩が十分に取れず、体調を崩すリスクが増大
- 待機時間に相当する労働分の賃金が支払われないため、収入面で深刻な打撃を受ける
- 結果的に、業界全体で人材確保が難しくなり、離職率が上昇する恐れがある
また、待機状態が続くと、次の業務に対する準備やスケジュール調整にも支障が出るため、企業全体の運営効率にも影響が及びます。
企業間契約|現状と求められる改善策
現状、多くの運送会社は急なオーダーやスポット案件に対応するため、短期間の口約束や簡易な契約書で業務を受注しています。
その結果、予期せぬ待機時間の発生時に、しっかりとした補填ができないという現状が生まれています。 この問題を解決するためには、以下の改善策が考えられます。
- 契約の明文化
- 業界ルールの統一
- 情報共有と透明性の向上
それぞれ詳しくみていきましょう。
改善策1|契約の明文化
待機時間やその補填について、具体的な数値や条件を盛り込んだ契約書を作成し、各社間で共有します。
改善策2|業界ルールの統一
国や業界団体が中心となって、補填の最低基準や取引ルールを策定し、従来の不透明な運賃体系を見直します。
改善策3|情報共有と透明性の向上
最新のITツールや管理システムを活用し、各段階の業務内容や待機時間の実績をデジタル化、共有することで、問題発生時の迅速な対応が可能となります。
業界全体の未来展望と提言
運送業界は、今後さらなる需要拡大が予想される一方で、内部構造の改善なしには持続可能な成長は難しい状況にあります。 そこで、業界全体で取り組むべき提言としては、以下の点が挙げられます。
- 待機時間の未補償、多重下請け構造の弊害→現状を打開するための改善策
- ドライバーの健康管理や働く環境の整備を目的とした、新たなサポート体制の導入
- 各企業間での連携強化による契約の透明性確保と、情報共有システムの普及
- 最新テクノロジー(例:IoTやデジタルマネジメントシステム)を活用し、運行管理の効率性を向上させる
これらの取り組みは、単に待機時間の補填問題に留まらず、業界全体のブランド価値向上や、労働環境の改善、さらには経済全体への好循環を生むことに寄与するでしょう。
まとめ
今回の記事では、運送業界における多重下請け構造がもたらす荷待ち問題と、その結果として発生する待機時間の未補償の現状について詳しくご紹介しました。
5時間にも及ぶ待機時間が補填されず、ドライバーや下請け業者の収入や健康、現場全体の効率に大きな影響を与える現状は、業界改革の必要性を痛感させるものであります。
今後、明確な契約の整備、業界全体または国による最低補填基準の設定、そしてテクノロジーを活用した運行管理体制の確立が急務となります。 関係者が協力し、より透明で公正な取引体制を構築することで、運送業界は今後ますます発展し、働く人々が安心して仕事に取り組める環境が整備されると信じております。
※本人の発言と実際の記載が完全一致しない場合もございます。予めご了承ください。
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