

青果DXで物流負担47%軽減 需要予測と自動発注が実現する物流効率化
目次
シノプス:青果物流通の効率化で「物流2024年問題」に貢献
シノプスは、西日本でドラッグストアを展開する企業が立ち上げた四国青果物流通合理化協議会へ参画しました。四国青果物流通合理化協議会が農林水産省の補助事業として実施した実証実験で、需要予測型自動発注システム「sinops-R」に青果向けロジックを追加した結果、従来の方法と比較して発注作業を50%削減、食品ロスを25%削減する成果を上げました。 さらに、物流効率化に関しても大きな改善が見られ、「物流の2024年問題」や食品ロスといった長年の課題解決に繋がるとして注目されています。
背景:人手不足と「2024年問題」が迫る青果流通の危機
鮮度劣化の早い青果物は、その特性から熟練者による繊細な発注が不可欠とされてきました。しかし、業界全体の人手不足に加え、「物流の2024年問題」によるドライバー不足は、青果物流通に深刻な非効率化をもたらしています。過剰発注による食品ロスも長らく課題となっていました。
「sinops-R」が青果発注を自動化、実証で顕著な成果
今回の実証実験では、株式会社シノプスが提供する需要予測型自動発注システム「sinops-R」に、青果物特有の鮮度や需要変動に対応するロジックが追加されました。2024年11月21日から2025年2月2日まで、2店舗を対象に玉ねぎやじゃがいもなど15品目で実施された実証の結果、販売量と売上を維持しながらも、従来の方法と比較して発注作業を50%も削減し、食品ロスも25%削減することに成功しました。
物流効率化に向けた3つのシナリオ検証
さらに、本実証では物流・業務効率の改善を目指し、3つのシナリオが検証されました。
- 納品リードタイム(LT)延長(2日→4日): 物流作業を従来の方法と比較して46%削減できることが判明しました。食品ロスやトラックの増便は発生していません。
- 1週間分の発注数事前提示:作業計画やピッキングなどの業務を従来の方法と比較して40%削減できました。こちらも食品ロスやトラックの増便はありませんでした。
- 店舗納品時間変更(〜正午): 店舗への納品時間を午前中に変更することで、トラックの積載率が35ポイント向上し、従来の方法と比較してトラック台数を47%削減できることが明らかになりました。一方で、仲卸側の作業削減は4%に留まったのに対し、店舗側の陳列業務負荷は43%増加するという課題も明らかになりました。
今後の目標:3年で食品ロス30%削減へ
四国青果物流通合理化協議会は、今回の実証結果を踏まえ、3年後を目標とした具体的な数値目標を掲げています。
- 臨時配送トラックを従来の方法と比較して30%削減
- 流通過程における所要時間を従来の方法と比較して30%超削減
- 仲卸・小売段階での食品ロスを従来の方法と比較して30%削減
これらの目標達成を通じて、持続可能な青果サプライチェーンの構築を目指すとしています。
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