化学業界が鉄道輸送で共同物流の実証実験を開始|31フィートコンテナで輸送効率を改善
目次
31フィートコンテナ活用で標準スキーム構築へ
化学業界における物流課題の解決に向け、東海・中国地区で鉄道を活用した共同物流の実証実験が開始されました。経済産業省および国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内の「化学品ワーキンググループ」による取り組みで、2025年8月から2026年1月まで愛知県名古屋市~広島県広島市・大竹市の貨物駅を中継地点として実施します。
背景と目的:2024年問題と化学業界の課題
化学業界では、貨物の特性(物性・梱包・重量など)により輸送手段や条件が複雑化しており、個社単位での課題解決には限界があるとされています。
また、政府の試算によれば、2030年には営業用トラックの輸送能力が34%不足する見通しです。
化学品ワーキンググループは、2024年度に四日市市~市原市間でトラック輸送の共同物流実証を実施し、積載率を20ポイント改善、CO₂排出量を28%削減する成果を得ました。
今回の実証実験は、化学業界の輸送能力向上と、鉄道輸送による共同輸送スキームの構築を目指します。
共同実証概要
今回の実証実験で使用するのは31フィートコンテナです。一般的に使用されている12フィートコンテナに比べて積載効率が高く、1コンテナあたりの積載量が大きいです。しかし、単独荷主では工場から消費地への輸送方向が一方向に偏る等、効率的な運用が難しいことが課題です。
愛知県名古屋市の名古屋貨物ターミナル駅と、広島県の広島貨物ターミナル駅・大竹駅を発着地点とし、専用の 31 フィートコンテナを複数荷主で運用することで鉄道輸送による共同物流を行うものです。
参加企業と役割
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荷主企業:三菱ケミカル、東ソー、三井化学
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物流事業者:JR貨物、日本通運
- 期間:2025年8月から2026年1月までを予定
具体的には、三菱ケミカル・東ソーからの貨物を名古屋貨物ターミナル駅発で中国地区へ、三井化学からの貨物を大竹駅発で東海地区へ輸送します。31フィートコンテナを複数荷主で運用することで、鉄道輸送の標準スキーム化を図ります。
今回の実証実験で期待される成果
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温室効果ガス排出削減
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ドライバー労働時間削減
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長距離トラック台数の削減
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複線化による事業継続計画への対応
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定時運行性の向上
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トラック輸送の余力創出と有効活用
本取り組みは、化学業界の輸送能力向上と、鉄道輸送による共同輸送スキームの構築を目指します。
今後の展望
化学品ワーキンググループでは、今後も中長距離輸送のモーダルシフト、エリア集荷・配送の共同化、資材・コードの標準化、物流のデジタル化(ペーパーレス化)などの物流効率化に取り組む予定です。
まとめ|物流危機に直面する今、業界横断の共同対応が鍵に
2024年問題により、化学業界も輸送力不足への対応が急務となっています。今回の実証実験は、鉄道輸送による共同物流の実現に向けた第一歩であり、複数企業が連携して標準スキームを構築する試みです。
今後、他業界にも応用可能なモデルとなるかが注目され、業界横断の協調と持続可能な物流構築が問われています。
参考サイト
・『化学業界における物流の課題解決に向け、東海・中国地区での鉄道輸送による 共同物流の実証実験を開始 31 フィートコンテナを用いた標準スキームを構築へ』
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