【経験談】配車システム導入後に見えた物流業界DXの現実|vol.162
物流業界の経営者や業界従事者に有益情報を発信するお役立ちメディア物流チャンネル。vol.162は『【経験談】配車システム導入後に見えた物流業界DXの現実』です。
- 高額な配車システム導入→業務効率化に直結しない現実
- 現状の課題を乗り越えるために→ユーザー柔軟なツールが必要
- 自社独自のシステム開発→現場の意見を反映した真のDXが実現できる可能性
※本人の発言と実際の記載が完全一致しない場合もございます。予めご了承ください。
目次
物流業界|現状と課題
物流業界は、EC市場の急拡大とともに、業務量の増大や人手不足といった深刻な課題に直面しております。現場では、常に時間との戦いの中で、スピードと正確性が求められており、日常業務に追われるあまり、最新のシステムを習得し運用する余裕がなかなか生まれません。
また、現状の業務改善は単にツールを導入するだけでは解決せず、現場の働く環境や業務フローそのものを見直す必要があるという現実も浮き彫りになっております。従来のシステムが、数字や効率性を追求するあまり、実際の現場に即したシンプルさや使い勝手を欠いている点も大きな問題となっています。
さらに、現場の従業員は変化に対して抵抗感を抱くことが多く、「新しいシステムがかえって現状を混乱させるのではないか」との懸念もあり、結果として導入後すぐに放置される事例が少なくありません。
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配車システム導入
事例を詳しくみていきましょう。
事例|配車システム導入
ある物流企業が高額な配車システムを導入した事例が取り上げられております。初期投資としてかなりの費用がかけられたにもかかわらず、現場の忙しさや業務プロセスとの不一致から、実際にシステムを活用するスタッフが見当たらず、最終的には「誰も触らずに終わった」という現実が語られていました。
具体的なケースとして、廃車業界での配車システム導入が挙げられます。システム作りに込められた開発者の熱意や機能面での優秀さは認められるものの、現場の実情に即していなかったため、システムが十分に使われず、投資だけが膨れ上がってしまったという厳しい現実を示しています。
システム定着|阻害要因
このような「使われないシステム」が生まれる背景には、いくつかの要因があります。
要因1| 業務の過密化と時間の制約
現場では、毎日の業務を限られた時間内で必ずこなさなければならないため、新たなシステムに触れる余裕がありません。システムの操作方法を習得するための時間すら惜しまれ、結局既存のやり方に頼らざるを得なくなるのです。
要因2|システムと現場業務のミスマッチ
多くのシステムは外部のIT企業によって開発され、現場の実情や独自の業務プロセスを十分に反映できていないケースが目立ちます。結果として、使い勝手の悪さや、現場のニーズにそぐわない機能が多く、結局は操作しにくいツールとして放置されてしまいます。
要因3|ユーザー視点の欠如と高度な専門性
システム開発側は、先進的な機能や理論を追求するあまり、現場で求められる「シンプルさ」や「直感的な操作性」が犠牲になることがあります。これにより、従業員が新しいシステムに対して不安や抵抗感を持ち、結果として現状維持の方向へ引き戻されるのです。
自社独自システムの可能性
こうした問題意識から、最近では「自社でシステムを作る」というアプローチに注目が集まっております。自社でシステム開発に挑戦することで、下記のようなメリットが期待できると考えられます。
メリット1|カスタマイズ性の向上
自社内で開発すれば、自社独自の業務フローや現場での具体的な課題をリアルタイムに反映できます。たとえば、スプレッドシートやエクセルといった既存ツールをベースに、直感的でシンプルな管理システムにカスタマイズすることで、すぐに現場での運用が可能となります。
メリット2|初期投資の抑制と即効性
大掛かりなシステムではなく、必要最低限の機能に特化したツールであれば、導入から運用までの期間が短く、初期投資も抑えられるため、実際に「使える」システムとして定着しやすくなります。
メリット3|現場との距離感の是正
自社でシステム開発を行うことで、開発担当者と現場スタッフのコミュニケーションが密になり、細かな改善点や要望を即座に取り入れることが可能です。これにより、現場での運用負担が軽減され、システムが実際の業務効率向上に寄与する可能性が高まります。
さらに、自社独自のシステムであれば、導入後のカスタマイズやアップデートが柔軟に行えるため、現場のフィードバックをスムーズに反映しながら、より使いやすい環境を整備することができるのです。
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まとめ
今回の事例から見えてくるのは、単に高額なシステムを導入すれば業務効率が上がるという単純なものではないという現実です。物流業界は、忙しい現場ゆえに「使いやすさ」や「即効性」が特に重視される領域であり、そのため、システム導入には慎重な対応が求められます。
今後の物流業界DXの成功には、以下の取り組みが鍵となるでしょう。
- 現場の実態と声を第一に考えた、シンプルで直感的なツールの開発
- 自社内でのシステム開発による、柔軟かつ迅速な改善サイクルの確立
- 人とシステムのバランスを見直し、現場の負担軽減を目指したハイブリッドな運用体制の構築
これにより、物流業界はこれまでの「高額なシステム投資のムダ」から脱却し、現場で実際に使える、価値あるDXを実現できると信じております。
多忙な現場でも、確実に効果を発揮するツールがあれば、業務効率の向上だけでなく、従業員の働き方改革にも大いに貢献することでしょう。 各企業が現場のリアルなニーズを深く理解し、実践可能な解決策を模索することが、物流業界の未来を切り拓く大きな原動力になるはずです。
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※本人の発言と実際の記載が完全一致しない場合もございます。予めご了承ください。
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